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ひとりひとりにあった義肢・装具をつくる技術者
義肢装具士の仕事は、リハビリテーションスタッフの一員として、医師の指示のもとに、義肢・装具の装着部位の採型・設計・製作・からだへの適合を行い、患者のすみやかな社会復帰につとめることです。
患者ひとりひとりに最適なものを提供するため、装着部分の採型・採寸・補装具の制作・できあがった補装具の装着・適合・状態の調整・装着後のリハビリテーションを行います。
義肢装具士が扱う義肢とは、手足の一部を失った人がその欠損部の動きや概観を補うために装着するものでいわゆる人工の手足です。装具とは、病気やけがの場合に、治療の一部として、あるいは失われた機能の補助を目的としてからだに装着する補助器具です。義肢・装具は、切断された手足や患部によりよく適合し、機能がすぐれ、かつ不快感のない耐久性のあるものが要求されます。
義肢装具士には医学と工学などの幅広い知識と高度な専門知識や技術が必要です。
義肢装具士国家試験に合格すると免許が与えられます(厚生労働大臣の免許)。国家試験の受験資格を得るには次のような方法があります。
(A)
高校卒業後、文部科学大臣または都道府県知事指定の養成所(専門学校など)で3年以上必要な知識と技能を修得する。
(B)
大学などで1年(高等専門学校は4年)以上修行し、厚生労働大臣の指定する科目を修め、指定養成機関で2年以上必要な知識と技能を修得する。
(C)
厚生労働省の義肢装具の技能検定に合格し、指定の養成施設で、1年以上必要な知識と技能を修得する。
(D)
外国の相当する学校卒業者または免許所持者で、厚生労働大臣の認定を受ける。
3年制の義肢装具士養成施設では専門の知識と技術を93単位以上を学ぶことが法律で定められています。
カリキュラムは基礎分野、専門基礎分野(医学系の科目と工学系の科目があります)、専門分野の3つに分かれています。
大学の一般教養の科目に相当し、おもに1年次で履修します。
心理学・倫理学・物理学・生物学など14単位を修得します。
専門基礎分野では4つの教育内容を柱に、医学分野と工学分野の45単位を修得します。
医学系では、公衆衛生学、医学概論、解剖学、生理学、病理学概論、機能解剖学、臨床神経学、整形外科学、リハビリテーション医学、理学療法学、作業療法学、臨床心理学など、義肢装具の適合を行う上で必要な医学的知識を修得します。
工学系では、図学製図学、機構学、電子計算機演習、義肢装具材料学、義肢装具材料力学、システム制御工学など、義肢装具の設計、製作に必要な知識を修得します。
専門科目では3つの教育内容を柱に、義肢装具に関する基礎理論や制作方法を学び、45単位を修得します。
①義肢装具学概論
義肢装具の歴史や全体の概要を学びます。
②基本工作論
義肢・装具の基本的な製作法、機械の操作方法を学びます。
③下肢装具概論
下肢装具の適応となる病気について学び、下肢装具が果たす役割について学習します。
④下肢装具(実習)
下肢装具を実際に制作し、材料の選択方法や適合理論について学習します。
⑤義足概論
各種義足の体重支持原理やパーツの機能などについて学習します。
⑥大腿義足(実習)
大腿義足を実際に制作し、材料の選択方法や適合理論について学習します。
義肢装具製作所、リハビリテーションセンター、病院などの医療施設で、義肢装具の採型、製作、適合の実習では義肢装具を実際に製作します。
義肢装具士の卒業後の進路としては、民間の義肢装具製作会社をはじめ、各都道府県のリハビリテーションセンターなどの義肢装具施設のある病院、義肢装具士養成施設や職業訓練校などの教育機関などがあります。
最近では一定期間のトレーニングの後に、発展途上国や戦争被災国に国際援助活動に赴くことも多くなっています。
また、医学、工学技術の進歩に伴い、義肢装具の研究・開発分野への進出も期待されます。
第37回 義肢装具士国家試験の試験期日・試験地・昨年度の合格率などのデータです。
試験日 | 令和6年2月22日(木) |
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試験地 | 東京都 |
第36回合格率 | 受験者数:200名 合格者数:162名 合格率:81.0% |
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