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歯科医師のサポートだけでなく、歯科保健指導などを行う
歯科衛生士は主に診療補助や歯科保健指導、歯科予防処置歯の病気の予防処置、治療の介助や補助、ブラッシング指導、プラークコントロールと呼ばれる定期的な歯垢・姿勢の除去などを行います。治療にも積極的に参加していきます。
歯科医療にたずさわる人々は歯科医師を中心に、歯科衛生士、歯科技工士、歯科助手、医療秘書などですが、このなかで国家資格をもっているものは、歯科医師のほかは歯科衛生士と歯科技工士です。
歯科衛生士の業務は多岐に渡り、歯科疾患(歯および口腔の病気)の予防のために直接患者さんに歯科予防処置を行ったり、歯科診療が効率よくすすめられるために、歯科医師の診療をサポートする歯科診療補助を行います。
また一般市民に対しての口腔衛生思想の普及活動、保健指導および教育をする業務や、心身障がい者や寝たきりの高齢者の生活の質(QOL)を向上するために行う歯科口腔介護業務も行います。
歯科衛生士国家試験に合格すると免許が与えられます(厚生労働大臣の免許)。国家試験の受験資格を得るには次のような方法があります。
(A)
高校卒業後、文部科学大臣または都道府県知事指定の養成施設(短大・専門学校など)で3年以上必要な知識と技能を修得する。
(B)
外国の歯科衛生士学校卒業者または免許所持者で厚生労働大臣の認定を受ける。
歯科衛生士養成施設の教育内容や時間数が定められていますが、ほとんどのところでは、それより多くの時間数がカリキュラムに組まれています。
1年次は講義が中心となり、2年次、3年次では臨床実習中心の授業が行われます。
①歯科衛生士概論
「歯科衛生士とはどんな職業か」ということをじゅうぶん理解するために勉強する科目です。
②解剖学
人体の構造について広く学ぶ解剖学、歯の発生や組織について学ぶ組織・発生学、さらに口腔および口腔の隣接組織の構造や歯と歯周組織の形態について学ぶ口腔解剖学の3つの分野に大きく分けられます。
③生理学
人体の生理の概要や口腔生理の概要(咀嚼・唾液・嚥下・発音・咬合など)を学び、生体の機能についての理解を深めます。
④病理学
病気の原因経過、転帰について学び歯や口腔の病気についても理解を深めます。
⑤微生物学
全身や口腔疾患の原因となる口腔内の微生物に関して、その性質から滅菌の方法までを学び、実際の消毒や滅菌に役立てます。
⑥薬理学
薬物を正しく用いるために薬物の性質や作用の仕方、副作用などを学びます。
⑦口腔衛生学
口腔衛生に関する基礎理論や基礎技術を十分に把握し、それを公衆衛生活動として実践する場合の知識や技術も学びます。
並行して、歯科衛生統計や歯科衛生教育の方法も学び、すぐに役立つ能力を身につけます。
⑧衛生学・公衆衛生学
人口、環境衛生、食品衛生など、衛生学と公衆衛生の概念を学び、公衆衛生活動の基本的な知識の修得を目的とします。
⑨栄養指導
歯科保健に関連する栄養や食事指導を栄養学と生化学の両面から理解し、歯科保健指導と歯科衛生教育を適切に行うことのできる技能を修得します。
⑩衛生行政・社会福祉
歯科衛生士法などの関係法規、社会保障制度や福祉制度、社会保険制度などを学習し、実際の業務を適正に行う際に役立てます。
①歯科臨床概論
歯科医療の実際について学びます。
おもな内容は、歯科医療についてや患者の心理、特徴、歯科疾患の概要、診療の流れ、診療各科の概要です。
②歯科保存学
う歯や歯周病になった歯を残すための治療法を学び歯科衛生士としての対応を学びます。
③歯科補綴学
歯や歯の一部を失い、入れ歯や冠をかぶせるなどの処置をほどこすうえでの診療補助を行える技能を身につけます。
④口腔外科学
口腔外科疾患の理解を深め消毒や滅菌、抜歯や切開などの手術の補助、麻酔に関する知識を学びます。
⑤小児歯科学
発育期の小児に対する理解を深め小児患者との接し方、さらに心身障がい児の歯科診療にいたるまでを学びます。
⑥歯科矯正学
咬合の発達や不正咬合を治療する矯正に関する知識と矯正装置、患者管理の方法を身につけます。
①歯科予防処置
う蝕予防のための薬物塗布や、歯周病予防のための歯石除去法を中心に、予防処置法について実習します。
②歯科診療補助
歯科診療補助の基本的な実技を身につけます。
実習範囲は広く、消毒・滅菌歯科材料・機器の取扱、各種検査法、患者の応対、事務処理、看護・救急法なども学びます。
③保健指導
プラークコントロールや栄養指導の方法から衛生教育、話法、情報収集まで広範囲の実習が行われます。
④臨床実習
2年次は臨床実習を中心とした授業になります。
2年次3年次は臨床実習を中心とした授業になります。
上記の実習科目の「歯科予防処置」「歯科診療補助」「保健指導」を病院や歯科医院、保健所、学校、幼稚園や障がい者施設等で行うことにより、実務の能力を身につけます。
歯科衛生士はもともと保健所で働くために制度化されましたが、その後、法律の改正で歯科診療補助を行える資格が与えられ、歯科医院(歯科診療所)への就職が多くなりました。
今では全体の9割以上が歯科診療所に勤務しています。
一方、保健所や市町村、老人保健施設、企業など公衆衛生の分野で活躍する者も年々増えています。超高齢化社会の進展に伴い、医療は治療から保健・介護へと向っています。学校・福祉施設などでも組織的・恒常的な歯の健康維持・予防のための指導が行われるようになりました。
歯科衛生士の保健・福祉部門への積極的な参加は、これから益々期待されていくものと考えられます。
第33回 歯科衛生士国家試験の試験期日・試験地・昨年度の合格率などのデータです。
試験日 | 令和6年3月3日(日) |
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試験地 | 北海道、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県及び沖縄県 |
第32回合格率 | 受験者数:7,470名 合格者数:6,950名 合格率:93.0% |
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