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現代医療に不可欠の放射線を扱う専門職
診療放射線技師は医師の指示のもとで放射線診断・治療にかかわるスペシャリストとして、その役割が期待されています。高度化する医療技術のなかで、各種放射線は現代医療の診断・治療に欠かすことのできない存在です。
診療放射線技師は医師や歯科医師が病気の発見や病気の原因を確認するために必要なX線写真を撮影したり、治療のための放射線照射などを担当します。
もっとも身近なものは、健康診断の胸部X線写真で、X線検査にあたります。X線撮影はX線の透過性の違いを利用し、体外からは見えない臓器や器官の異常陰影を見つけ病気の診断を行います。X線撮影にはいろいろな方法があり、単純撮影、特殊撮影、造影撮影法などがあります。また、最近広く利用されている方法ではX線CT(コンピュータ断層撮影)があります。
このほか、体内臓器の働きや異常を調べるラジオアイソトープ検査や、疾患部の細胞を破壊して治療する放射線治療、医用画像の適切な利用を進める情報管理、そして安全に操作するための放射線管理を担当します。
診療放射線技師国家試験に合格すると免許が与えられます(厚生労働大臣の免許)。国家試験の受験資格を得るには次のような方法があります。
(A)
高校卒業後、文部科学大臣または都道府県知事指定の養成施設(短大・専門学校など)で3年以上必要な知識と技能を修得する。
(B)
大学の診療放射線技師養成課程で4年間修学する。
(C)
外国の相当する学校卒業者または免許所持者で、厚生労働大臣の認定を受ける。
診療放射線技師養成施設での教育内容は、文部科学省並びに厚生労働省から公布されている「診療放射線技師養成所指定規則」により定められており、学科目と時間数の詳細については各養成機関の独自性にゆだねられています。
自然科学、人文科学、社会科学、外国語、保健体育など、医療従事者にとって必要とされる一般教養的知識が各学校独自のプランで教育されていきます。
専門分野の学科目を理解するために必要とされる、医学的基礎知識と理工学的な基礎知識を学びます。
このなかの医学分野での主な学科目としては解剖学、生理学、生化学、病理学、衛生学などがあり、ここでは主として人体の構造や各臓器や器官の働きを理解することによって、放射線を中心にした画像診断技術や核医学検査技術並びに放射線治療技術の向上に役立てます。
一方、理工学分野での主な学科目としては電気工学、電子工学、情報学、放射線物理学、放射化学、放射線計測学などがあります。
これらの教育目的は画像診断技術や放射線治療技術等をより理工学的に理解することはもちろんですが、このような診断、治療に使用される多種類の高度医療機器の操作や維持管理を的確に行うために必要な知識となります。
まさに診療放射線技師が医療施設で働くときの中心的な領域となる、画像診断、核医学検査、放射線治療に関する医学的並びに技術的知識が教授されます。
①診療画像技術学
X線を使った単純撮影法の他に、単純撮影では撮像できない臓器や器官を造影剤を使って撮像する造影撮影法、或いはX線CT検査法があります。
そして放射線を使わない画像診断としてMRI検査、超音波画像検査、眼底カメラ検査等も診療放射線技師の業務範囲にありますので、これらの画像診断技術もここで学びます。
②核医学検査技術学
放射性同位元素で標識された放射性医薬品を患者さんの体内に投与して、体内の特定の臓器や器官に摂取された状態を体外からガンマカメラと呼ばれる画像機器で撮像して、病気の診断をする技術です。
画像検査だけではなく、臓器や器官の機能状態を調べることもでき、X線やMRIでは分からないような病気の診断もできます。
このような放射性同位元素を利用した検査技術をここで学びます。
③放射線治療技術学
悪性腫瘍を放射線を使って治療する技術です。
正常な細胞よりも悪性腫瘍の細胞の方が少しだけ放射線に破壊されやすいという性質を利用して治療します。
リニアックと呼ばれる電子加速装置を使って、これから発生する電子線とX線を使って治療を行っています。
近年は病巣の形に合わせ放射線を照射するIMRT(強度変調放射線治療)により、一層の治療効果が上がっています。
このような治療を的確に行うためには、腫瘍学を中心にした病気に関する知識と同時に放射線計測に関する理工学的知識も必要になります。
このような放射線治療に関する一連の知識をここで学びます。
④医用画像情報学
最近の医療機関では必ず必要となるコンピュータを駆使した画像処理や、画像の転送、保管といった一連の知識を学びます。
⑤放射線安全管理学
放射線は現在の医療のなかでは絶対に欠かせない存在である反面、危険性もともないます。
そこで医療のなかで患者さんや医療従事者に対して放射線を安全に使用するための知識を学びます。
⑤臨床実習
学内で習得した専門知識をもとにして、実際に臨床病院で医師や医療従事者そして患者さんと接しながら、実習します。
一部の養成施設では2年次と3年次にわたって行われるところもありますが、たいていの養成施設では最終年次で10単位が約3カ月間にわたって行われます。
ここで診療放射線技師としての初体験をすることになります。
就職先は、基幹病院、大学病院、官公庁などで、専門技術が不足しているため就職状況はきわめて良好で、勤務条件も恵まれています。給与は国公立病院の場合は医療職俸給表により臨床検査技師と同額ですが、民間の場合はやや上回ります。
診療放射線技師は、電離放射線(X線、アルファ線、ベータ線、ガンマー線)や放射性同位元素を取り扱うことができるため、病院以外にも、医療機器メーカーの研究・開発部門や原子力工業分野などにも進出しています。今後、放射線利用の幅が広がるとともに診療放射線技師の活躍の場はますます増えていくでしょう。
第76回 診療放射線技師国家試験の試験期日・試験地・昨年度の合格率などのデータです。
試験日 | 令和6年2月14日(水) |
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試験地 | 北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、香川県及び福岡県 |
第75回合格率 | 受験者数:3,224名 合格者数:2,805名 合格率:87.0% |
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