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救急医療の最前線で応急処置を行うスペシャリスト

救急救命士になるには

救急救命士は救急車に同乗して、病院への移送間で患者の生命を維持するのが仕事です。
一般の救急隊員には許されていない、呼吸停止や心臓停止といった心肺停止状態の人に蘇生を行うことができます。

どんな仕事?

交通事故の激増、人口の高齢化、疾病構造の変化などを背景に、救急医療機関に運ばれる患者数は年々増えています。
日本の救急医療体制は、休日・夜間急病センターなどの充実によって徐々に整備されてきました。
しかし、搬送途中の医療の確保については、急務の課題となっています。

交通事故によるケガ人、火災・爆発・溺水・ガス中毒・農薬中毒などによる重症患者、あるいは高齢化にともない激増している脳血管障がい・心筋梗塞・狭心症などの循環器系疾患者は、救命のための初期治療が早ければ早いほど助かる確率が高いといわれています。
しかし、これまでの日本の救急隊員に許されていた応急処置は、口移しなどによる人工呼吸や、手で胸をおさえる心臓マッサージなどの初歩的なもので、手当ての範囲に限りがありました。
そこで、救急隊員が行う応急処置の範囲を拡大し救命率の向上をはかるべきだという声があがり、こうした社会的要請のもとに誕生した国家資格が救急救命士です(「救急救命士法」平成3年法律36号)。

救急救命処置による初期治療により、患者の死亡率が改善され、二次障がい発生の危険性も防ぐ役割をになっています。
救急救命士が行える行為は「症状が著しく悪化する恐れがあり、その生命が危険な状態にある傷病者に対して、当該重度傷病者の病状の著しい悪化を防止し、またはその生命の危険を回避するために緊急に必要な救急救命処置」といわれているように、非常に高度で専門的なものになっています。
救急救命士の実績にともない、今まで医師の指示がなければできなかった高度な処置も可能となってきました。

おもな救急救命処置
  • 心臓が止まった人に電気的刺激を与えて拍動を正常なリズムにもどす。(半自動体外式除細動器)
  • 点滴をして循環を確保する。(薬剤静注)
  • 呼吸が停止し窒息しかけている人の肺に空気が入っていく通り道を開く。(気管挿入等)
  • 聴診器を使って心音・呼吸音を聴取する。
  • 搬送中の患者の血圧を測定する。
  • 心電計の使用により心拍動を観察し心電図を無線で送って医師の指示をあおぐ。
  • 吸引器や、物をつかむ道具を使ってのどにつまった異物を除去する。
  • 経鼻エアウェイを使って呼吸ができるようにする。
  • パルスオキシメーターで血中酸素飽和度を測定する。
  • 下肢・腹部を加圧することによって末梢の血液を体幹部に移行させ循環機能の維持をはかる。
  • 自動式心マッサージ器を使って胸骨圧迫心マッサージを行う。

以上のうち、とくに「半自動体外式除細動器」「薬剤静注」「気管挿入等」の処置は救急救命士でなければできません(一般の救急隊員には許されていません)。
このように高度で専門的な応急処置に関しては、各種の医学的な判断を要し、二次的障がい発生の危険性もあるため、医学の総合的な知識と技能が必要とされます。
救急救命士は、こうした高度な処置を含めて、その行為を医師の指示のもとに行わなければなりません。

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資格の取り方

救急救命士

救急救命士の国家試験に合格すると免許が与えられます(厚生労働大臣の免許)。
国家試験の受験資格を得るには、高校卒業後、文部科学大臣または厚生労働大臣指定の養成施設で2年以上にわたり必要な知識と技能を修得する必要があります。
このほか、消防機関に所属し、救急医療の実務経験者に一定機関の教育後受験資格を与える制度があります。

養成施設の種類

高校卒業を条件として入学できる養成施設は全国に21校あり、すべて私立の学校です。
いずれの学校も各種の医療系技術者養成学科を併設しており、それらでつちかってきた教育環境を背景に広範な医療分野の業務における相互理解を深め、より広い視野をもった救急救命士の育成をめざしている点が特徴です。

修業年限

専門学校は2年制と3年制があります。
3校の大学では、保健・体育・工学専攻の学生が、他の教職・医療系資格の他に救急救命士の資格の取得が可能なカリキュラムになっています。

なお、5年以上の実務経験者を対象とする養成課程は、東京・福岡の救急救命研修所をはじめ、全国主要都市の救急救命士養成所、または消防学校や自衛隊病院教育部などがあります。

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こんなことを学ぶ

救急救命士の2年制の養成施設のおもな履修科目は大別すると、基礎分野、専門基礎分野、専門分野にわけられ講義と実習が有機的に組みあわされています。
合計授業時間数は規定では2,475時間ですが、実際には各校ともそれ以上のカリキュラムを組んで教育を充実させています。

カリキュラムには時々見直しが行われており、麻酔および関連病態などの追加も行われています。
1年次は救急救命医療の知識・技術を身につけるための土台となる期間です。
2年次になると、医学の全般的科目から救急救命に関するかなり高度で専門的な科目に移っていきます。
しかも、講義だけでなく、実習をともなったさまざまな技能を身につけるために、学内でのシュミレーション実習をはじめ、救命救急センターでの見学実習や消防署内で実習などもあります。

基礎科目

基礎的内容の修得と総合的な理解をはかる一方、社会人に求められる豊かな人格の形成にも力をいれています。
救急救命士が、患者さんはもちろん、社会からも高い信頼性をもって迎えられるためには専門家である以前に社会人としての人間性をそなえている必要があるからです。

基礎医学科目

基礎医学科目では医の倫理から医学をとりまく環境までを学ぶ医学概論をはじめ、人体の構造と機能を知る解剖・生理学、薬物の作用と種類を学ぶ薬理学、病気の原因を探る病理学、検査の役割を学ぶ臨床検査学、生体の構成物質とその機能を学ぶ生化学、エイズにも深くかかわってくる感染や免疫などを学ぶ微生物学、法律上の問題となる医学的事項を学ぶ法医学、さらに放射線医学、看護学概論、公衆衛生、社会保障と社会福祉、患者搬送といった科目を救急救命医療の立場から修得していきます。

臨床医学

臨床救急医学科目では臨床救急医学総論として、救急患者の変化をみきわめるバイタルサイン(生命兆候)の観察をはじめ、一般的な尿検査から、心電図や脳波までの臨床検査、消毒や滅菌などの基礎的なものから心肺蘇生法、止血法、体位管理などの具体的な方法、救急医療の実態とシステム、とくに救急救命士が深くかかわる救命救急センターの実態などについても学びます。
そのほか地震国日本には欠かせない災害医療についてもかなりの時間をついやして学んでいき、専門的な臨床救急医学各論では、呼吸器、心臓・血管、神経、消火器といった臓器器官ごとの科目と、心肺停止、ショック・循環不全、意識障がい、出血、一般外傷などの病態ごとの科目を学びます。

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卒業後の進路と展望

救急救命士は救急車を所有する消防署、つまり、各地方自治体の消防官採用試験を受け、消防職員として消防署に勤務、海上保安庁や自衛隊でも通用します。
女性消防官の採用は少ないのが現状です。

民間の患者搬送業務事業所などがあり、将来的には病院をはじめとする医療機関や診療所のある企業への進出も予想されます。
なお、2年制養成施設卒業見込みで在学中に公務員試験を受験し、卒業前に就職先の内定を受けることが可能です。

高齢化社会、生活習慣病の増加、車社会による交通事故・災害等々、救急車の出動は年々増加しています。
さまざまな事故が多発する現代社会のなかで、高度な医学的知識と技術をもった救急救命士の活躍が期待されており、これからさき社会的的に重要な貢献ができることはまちがいありません。

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